【野生化しているワカケホンセイインコについて】

2019年4月3日オーストラリア生活, カメラ撮影技術, メディア/イベント, 未分類

【野生化しているワカケホンセイインコについて】

ソメイヨシノの蜜を舐めるワカケホンセイインコのオス

平成が終わり、来月からは令和の新元号が始まります。都内はちょうどソメイヨシノが満開を迎え、鳥たちが喜ぶ季節になってきました。それと同時に同時に桜の花を食べ、悪目立ちする町中のワカケホンセイインコがニュースで見る季節になりました。

  • ワカケホンセイインコとは

ここ最近何かと話題になるワカケですが、彼らはアフリカやユーラシア大陸などで広く見られるホンセイインコの亜種で、南インドやスリランカが原産です。近年急に増えたわけではなく、1960年代のペットブームの際に大量に放たれたのが原因で野生化しました。飼われていた手乗りの個体よりも、現地で野鳥として暮らしていたものを捕らえて連れてこられ、 日本では、輸入時のコンテナ事故により、多くが逃げ出したのが主な原因で、売れない個体の訪鳥と篭脱けにより定着したのが真相なようです。現在は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県で見られます。日本だけでなく、イギリスやドイツなどの欧州、北米でも野生化しているようです。

今年初頭まで見られていたワカケのねぐらでの様子。
  • ワカケホンセイインコの観察

この1年、ワカケを研究者と一緒にちょこっと追いかけていたのですが、自分の中のインコの常識が覆されました。インコは基本的に種子食なので、日本の四季がある環境に適応するのは難しいと思っていたのですが、ワカケは持ち前の高い知能と好奇心を活かし、季節によっていろいろな物を食べていることがわかりました。オカメやセキセイと違って植物ならなんでも食べられるのがワカケの強みなのかもしれません。ワカケの食べている物を調べる過程で、植物の名前も覚えることができました。

噂の東京マガジンでのガイドの様子
  • テレビでの報道

テレビ番組の影響もあって外来種=悪者のイメージがついてまわり、ワカケも例外ではありません。昨夏に知人からの紹介で噂の東京マガジンにコメントを求められましたが、やはり良い報道はされませんでした(TSUBASAがちょこっと紹介されたり他の番組と比べれば時間もかけ、リサーチもしていてマシな部類だと感じましたが)。外来種のワカケは在来種に影響を与えるなり、農業被害があるといったような言われ方もしますが、悪いのは持ち込んだ人間です。

ケヤキの実を食べるワカケ(夏)
スダジイの実を食べるワカケ(秋)
カキを食べるワカケのオス(初冬)
求愛給餌するワカケ
  • 今後のワカケホンセイインコ

主食の種子が見つかりにくいこと、営巣には樹洞が必要などの理由から都市部から生息域をあまり広げていないように感じますが、徐々に行動範囲を広げ、八王子市でも観察したことがあります。どちらかというと都市公園の緑化が進み、動物たちにとって住みやすい環境になり、里山の鳥たちが都内に進出し、ワカケたちは活動範囲を広めているように感じます。これからどういう動きを見せるのかは全く予測できません。

外来種の処遇について賛否両論だと思いますが、四季がある日本でインコがこれほどまで適応している姿は感動を覚えます。自分の中ではコアジサシと並んで、思い入れのある日本での撮影テーマになってしまいました。もしかしたらこれから駆除されるなどの悲劇的な末路を迎えることになるかもしれませんが、彼らのことを追いかけていきたいと思います。